実際にあったご相談から
福祉ハイヤーの仕事をしていると、「移動できるかどうか」だけでは解決できないご相談に出会うことがあります。
特に葬儀への参加は、ご家族にとって特別な意味を持つ移動です。
「最後に顔を見せてあげたい」
「手を握らせてあげたい」
「家族みんなで送り出してあげたい」
電話口の向こうから、言葉を選びながら、それでも精一杯の思いを伝えてくださるご家族がいらっしゃいます。
今回ご紹介するのは、寝たきりや車いす利用中の方が、どのように葬儀へ参加されたのかという実際のケースです。
最後のお別れを諦めていませんか?
「親の葬儀に、最後に会わせてあげたい」
「寝たきりだけど、葬儀へ参加することはできるのだろうか」
大切な人との別れの場面で、このような悩みを抱えるご家族がいらっしゃいます。
寝たきりや車いすを利用している方の場合、
- 移動できるのか
- 長時間過ごせるのか
- 体調を崩さないか
- 家族だけで対応できるのか
など、多くの不安があります。
しかし、状態や環境によっては、福祉ハイヤーなどを利用することで葬儀へ参加できる場合があります。
大切なのは「行けるか、行けないか」だけで判断するのではなく、その方に合った方法を一緒に考えることです。
今回は、実際にあったご相談をもとに、自宅・施設・病院から葬儀へ参加する場合のポイントについてご紹介します。
※個人が特定されないよう、内容を一部変更しています。
①ご自宅から葬儀へ参加したケース
「葬儀に連れて行ってあげたいけれど、寝たきりだから難しいですよね」
電話の向こうで、そう小さくつぶやかれたご家族がいました。
「難しいですよね」と確認するように話されるご家族も多く、最初から諦めて相談される方も少なくありません。
ご自宅で生活されている方の場合、まず確認したいのは「家の中から車まで安全に移動できるか」です。必要に応じて、ご自宅のベッドから車いすにお乗せし、そのまま外までお連れします。
そのため事前に、ベッドから玄関、そして外までのご自宅の間取りや段差などの情報をお聞きすることがあります。
自宅からの移動では、
自宅
↓
玄関までの移動
↓
福祉車両へ乗車
↓
葬儀会場へ移動
↓
会場内で過ごす
↓
帰りのお迎えのお電話
という流れになります。
注意するポイントは、
- 玄関や廊下の段差
- 階段の有無
- 車いすの種類
- 長時間同じ姿勢で過ごせるか
- 水分や食事の方法
などです。
今回のケースでは、普通型車いすでは上半身が安定せずぐらついてしまうため、Yoursで準備したフルリクライニング車いすを使用し、細やかに姿勢を調整しながら参加していただきました。
ご家族の希望により、お家を出る前にお着替えのお手伝いもしました。鏡の前で身なりを整える時間もまた、ご本人にとっては大切な儀式の一部だったのかもしれません。
会場で過ごす時間についても、ご希望や状況に応じて、作業療法士であるドライバーによる付き添いや、介護保険外サービスの看護師による医療対応が可能なサポートなども検討できます。
今回のケースでは、作業療法士であるドライバーが付き添い、嚥下状態に合わせた粗きざみ食やとろみ水の食事・水分介助も行いました。
また、状態によっては介護保険外サービスの看護師による医療的なサポートを組み合わせることも可能です。
葬儀へ行くことだけが目的ではありません。
その方が苦痛なくその場にいられること、ご家族と同じ時間を、同じ空気の中で過ごせること。それもまた、移動の先にある本当の目的だと感じています。

②施設入所中の方が葬儀へ参加したケース
「○○施設に入所している母を葬儀に参加させたいんですけど…、やっぱり外出は難しいですよね…」
ダメもとで、と前置きしながらお問い合わせをくださるご家族も多くいらっしゃいます。声の端々に、聞く前から答えを覚悟しているような響きがありました。
しかし、状態や施設との調整によっては、葬儀へ参加できる場合も少なくありません。
確認したいことは、
- 施設スタッフとの相談
- 外出が可能な状態か
- 移動方法
- 葬儀の時間
- 帰所予定時間
- その他、気になることやご希望内容
などです。
今回のケースでは、施設で使用されている車いすをそのまま利用して葬儀へ参加しました。
斎場に着いてからは「あとは家族だけで対応できます」とのことでしたので、お迎えのお電話をいただいたタイミングで、施設への送迎を担当させていただきました。
葬儀会場では、ご家族や親族の皆様が自然に声をかけられ、ご本人を囲む温かい時間となりました。
施設入所中であっても、「もう外出できない」と決めつける必要はありません。
もちろん、ご本人の状態や施設との調整は必要です。しかし、条件が整えば、大切な人との時間を過ごすための外出につながることがあります。
③入院中の寝たきりの方が葬儀へ参加したケース
入院中の方の場合は、より慎重な準備が必要です。
ご本人様のご家族からの直接のご依頼や、病院の相談支援室のソーシャルワーカーからのご依頼が多くあります。
確認する内容には、
- 主治医の判断
- 病院スタッフとの相談
- ストレッチャーかリクライニング車いすか普通型車いすか
- 体調管理
- 酸素や医療機器の確認
- 移動方法
などがあります。
今回のケースでは、Yoursでストレッチャーを準備し、病院から葬儀へ参加しました。
こうした場面では、ご家族は葬儀の対応で手いっぱいなことが多く、ご本人のみが先に葬儀場へ向かい、ご家族とは会場で合流・解散することも少なくありません。
ストレッチャーでの移動でも、外の景色を見たり、ご家族と同じ場所で時間を過ごしたりすることが、その方にとって大切な意味を持つ場合があります。
葬儀は大切な人との最後の時間です。
参加するということは、単にその場を共有するだけではありません。
最後に顔を見たい
最後に話しかけたい
最後に手を握りたい
そのためにも葬儀中のお付き添いもご希望された場合、ストレッチャーに寝ている状態でも、姿勢調整や環境調整といった工夫によって、できる限り「ご本人のやりたいこと」に応えることを大切にしています。
また、外出中の身体の痛みや皮膚の状態が良くない場合には、頻繁なポジショニング調整も欠かせません。
状況によっては、葬儀中のおむつ交換や嚥下食などのお食事介助、痰吸引や点滴管理などのご希望があれば、こちらも介護保険外のお付き添いサービス「ちょい旅サポート ルピネ」の看護師を手配し、対応しています。
入院中だから
寝たきりだから
外出できないと決めつけるのではなく、安全に参加する方法を医療者や専門職と相談することが、道を開く第一歩になります。

葬儀へ参加するときに確認したいこと
葬儀への参加を考える場合、事前に以下の点を確認しておくと安心です。
身体面
- 車いすで大丈夫か
- リクライニングが必要か
- ストレッチャーが必要か
- 長時間座っていられるか
- 体調変化への対応方法
生活面
- トイレの方法
- 食事や水分の方法
- おむつ交換の場所
- 服装(着替えが必要か)
- 付き添い人数
環境面
- 会場までの段差
- 駐車場所
- 冬道の場合の移動方法
葬儀当日に慌てないためにも、事前に相談しておくことが重要です。
大切なのは「移動」ではなく、その人らしい時間を過ごすこと
福祉ハイヤーの役割は、単に目的地まで移動することだけではありません。
本当に大切なのは、
「その方が大切な場所で、どのような時間を過ごせるか」
ということです。
寝たきりや車いす利用中だからといって、すべてを諦める必要があるとは限りません。
状態や環境に合わせて方法を考えることで、大切な人との時間につながる場合があります。
作業療法士としての経験を活かした福祉ハイヤーの視点
Yoursでは、移動の際に、
- 車いすで安全に過ごせるか
- どのような姿勢が楽なのか
- ご本人やご家族が困ることは何か
という視点を大切にしています。
作業療法士でもあるドライバーとして、身体の状態や生活背景を考えながら、その方に合った移動方法を一緒に考えています。
また、長時間のお付き添いや看護師による継続的なサポートが必要な場合は、ルピネなどのサービスとの連携も検討できます。
必要な支援を組み合わせることで、ご本人とご家族が安心して大切な時間を過ごせるよう支援します。

まとめ|最後のお別れを諦める前に、できる方法を一緒に考える
寝たきりや入院中、施設入所中の方でも、状態や環境を確認し、必要な準備を行うことで、葬儀へ参加できる可能性があります。
大切なのは、
「できない」
と最初から決めることではなく、
「どうすれば安全に参加できるか」
を考えることです。

Yoursでは、身体状況や生活環境を確認しながら、その方に合った移動方法を一緒に考えています。
「寝たきりだけど葬儀へ連れて行ってあげたい」
「この状態で福祉ハイヤーを利用できるのか相談したい」
という場合は、お気軽にご相談ください。
大切な人との時間をつなぐ移動を、一緒に考えていきます。



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