各種車いすの特徴と選び方 - 【Yours】Private Care Service

駆動方法での分類

ご自身で操作して移動できるタイプです。駆動輪（後輪）が大きく、車輪についているハンドリムと呼ばれるハンドルを前後に動かすことで移動することができます。車輪が大きく安定感があります。

若い脊髄損傷の方など、上半身が安定していて手に力がある方は、ウィリー（前輪を浮かせる）などして段差を乗り越えることも可能です。

介助者が後ろから押して移動することが前提の車いすです。手押し用のハンドル部分にブレーキレバーが付いています。駆動輪が小さく軽量で小回りが利くため、混みあっている病院などでも移動が楽です。

バッテリーを積んで、自分で操作レバーを使うことで移動できるタイプです。手で操作するものや、あごや口で操作するタイプもあります。

病院やご自宅、ホームセンターなどに置かれている一般的な車いすです。背もたれ（バックレスト）が肩甲骨あたりまでのタイプです。短距離なら歩けるけど、距離があるとちょっと辛い場合など、気軽に利用できます。

背もたれが長くヘッドレストがついている大型の車いすです。背もたれがリクライニングできるため、血圧が低い方や体力低下により長時間座っていることが困難な方が利用することで安楽に移動できます。最もストレッチャー（寝台）に近いタイプです。

スタンダード型やリクライニング型ではお尻が前に滑り落ちてきてしまう方（仙骨坐り）の場合、ティルト型ではお尻が一番低い位置になるため、車いすから滑り落ちずに安全な座位姿勢を保つことができます。

リクライニングは座面が水平のまま『背もたれだけが倒れる』動きです。

ティルトは『座面と背もたれが連動して倒れて足が上がる』動きをします。

（下図【左：ティルト】【右：リクライニング】）

リクライニング型には、ティルト機能も持ち合わせているタイプもあります。

スタンダード型	体力・心臓・呼吸器などが低下し、安定して座っていられるが長距離の歩行が困難な方
リクライニング型	寝たきりの方、関節が硬かったり変形している方、フルフラットの姿勢が安楽な方。姿勢を定期的に変更したい方
ティルト型	座っているとお尻がずり落ちてくる方。首が不安定な方。血圧が低下しやすい方。リクライニング型までは必要ないが、普通型では不十分な方

短距離は歩ける、歩けるけど時間がかかるなどの場合、スタンダードタイプで十分でしょう。

ティルトタイプは、安定した坐位姿勢が保てない方や血圧が低下しやすい方にお勧めです。

リクライニングタイプは、寝たきりに近い方や長時間の使用が予想される場合、変形や褥瘡などがあり細かい姿勢調整が必要な方に向いていると言えるでしょう。

また、目的地の環境によってはリクライニングタイプなどの大型の車いすでは入れないことがありますので、それに合わせてスタンダードを使用する必要がでてくるかもしれません。

大きい段差や階段上げ下げが必要な場所に行く場合、ティッピングレバーの長さを確認することをお勧めします。ティッピングレバーは、小さな段差を乗り越える時に、介助者が足で踏むことでキャスター（前輪）を浮かせウィリー状態にし、段差に乗り上げるための突起です。

ティッピングレバーが長いタイプは車いすの安定性は向上します。
その反面、地面に接触しやすく十分なウィリーができず、段差を上がれないことがあります。

同様にティッピングレバーが駆動輪よりも後方に飛び出ているため、バックでの階段昇降をする際にも車輪よりも先に階段に接触して、昇降が困難な場面が発生します。

目的地で階段昇降をしなければいけない場合は、ティッピングレバーが短いタイプの普通型車いすがおすすめです。

使い慣れていない方に多い事故が、立ったり座ったりするときのブレーキのかけ忘れによる転倒事故です。打ち所が悪いと脊椎圧迫骨折などで入院が必要なケースもあります。乗降りの時だけに限らず、車いすを動かさないときは忘れずにブレーキをかけてください。

車いすはあくまで「移動するための椅子」です。短時間の休憩のために利用することは問題ありませんが、基本的に長時間同じ姿勢で利用するものではありません。

健康な私たちも映画館などで長時間座る場合、お尻や腰が痛くなりますよね。その場合は座り直したり、ちょっと姿勢を崩したりして、体重がかかる場所をずらしていきます。

しかし、車いすを利用される方には、自分で姿勢を直すことができない方もおられます。定期的にお尻を上げたり姿勢をずらす介助をして、途絶えがちになるお尻に血流を促すこと（除圧）は、床ずれなどの皮膚トラブルを避けること（褥瘡予防）につながる重要なことです。

Yoursではこのようなお客様の長距離移動時には、リハビリスタッフがお客様の状態を確認しながら定期的に姿勢を調整させていただいております。

車いすにはいろいろな種類があり、それぞれに特徴があります。

短期間の使用や、必要な車いす種類が変更になる可能性がある場合、レンタルの方が安くなることもあります。

その方のお身体の状態と、利用する環境によって、安全安楽に過ごすための車いすを選択していただけると幸いです。